special feature My BABY&Me

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vol.10
元ラグビー日本代表/クラブアドバイザー
/WOMEN'S RUGBY COMMUNITY運営
鈴木 彩香さん

先輩ママ・パパへのインタビューを通して「育児と仕事」をテーマに物語を紡いでいく特集『My BABY & Me』。

vol.10では、日本女子ラグビーの発展を牽引した元日本代表の鈴木さんをお迎え。引退後は“クラブアドバイザー”として女子ラグビーチームの運営に関わるほか、女子ラグビーの普及活動などで活躍する鈴木さんは、個人事業主として仕事をしながら1歳の女の子を育児中。スポーツ選手のセカンドキャリアと子育ての両立という新しいロールモデルを切り拓こうという姿勢が印象的でした。

選手時代

2007年の代表選出以降、7人制ラグビーでリオ五輪、2度のワールドカップ出場経験のほか、15人制ラグビーでもワールドカップに2度出場。本場英国のクラブチームでも活躍するなど2023年の引退まで長きにわたり、日本女子ラグビーの黎明期を支えてきた選手の一人。

お子さんはいまおいくつですか?

今、1歳です(※編集注:2024年12月時点)。もう歩き回って転んでは笑ってという感じですね。女の子なんですが、ものすごくわんぱくです。

2023年に引退されたとのことですが、結婚は引退後ですか? それとも引退を見据えたタイミングで結婚されたのでしょうか?

引退後ですね。ちょうど2021年のワールドカップを選手生活の一区切りにしようと思っていました。30歳を超えてから「子どもが欲しい」という気持ちが強まってきたのですが、脳震盪を何度か経験した影響でホルモンバランスが崩れていたので、早めに妊活したほうがいいだろうと夫...当時はまだパートナーですね、と話していました。そこで「ワールドカップを最後に引退したら、結婚して妊活しよう」という流れになったんです。

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脳震盪がホルモンバランスに影響することを知りませんでした。

脳のダメージでホルモンバランスが崩れてしまうんですね。認知機能が落ちることもありました。頭痛などの後遺症があって薬を飲むことも多かったので、まずは引退して健康を取り戻すことが大事だなと思いました。幸い、いまはだいぶ良くなりましたし、子どももすぐにできたのですが。

現在はどのような働き方をされているのでしょうか。

女子ラグビーの普及活動やコミュニティ運営、スポーツチームのクラブアドバイザー、スポンサー周りの営業、解説など、いろいろなことをしています。週2~3日は出勤して、他は在宅ワークが中心ですね。子どもがまだ小さいので、フルタイムでがっつり働くというよりは、家族との時間を最優先に、自分ができる仕事を選びながらやっています。

さまざまな活動をされていますが、個人事業主という形なのでしょうか。

そうですね。個人事業主として企業やクラブチームと契約して仕事をしています。

「クラブアドバイザー」というのはどういったお仕事なのでしょうか。

チームの方向性やコーチ選任、選手教育など「クラブ運営の全体設計」を考えるポジションです。例えば海外選手をどう取るか、選手に対してどんなキャリア支援をすべきかなど、現場の意見と経営側をつなぐ役割ですね。

そういうポジションがあるんですね。

幸い、そういうポジションを新設していただけたんです。
私が横浜の出身ということもあり、引退後にいま所属しているクラブチーム(※編集注:女子ラグビーチーム“YOKOHAMA TKM”)から、早々にコーチとしてお声掛けいただいたのですが、自分のライフステージなども考えた時に既存の枠組みの中ではまるポジションがありませんでした。
そのため、所属しているマネジメント事務所を交えてクラブと相談したところ、他クラブの事例を参考に新しいポジションを新設していただけることになりました。 働き方を含め、クラブにはすごく理解をしていただきながら仕事をさせてもらっています。

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元代表の選手が関わってくれることはチームにとってもありがたいだろうなと思います。引退された選手にとっても、今後そうした活躍の場ができていくのはいいですね。

そう、そうなんです。そういったモデルになる必要があるなと思っていまして。アスリートとして今の自分がやれること、社会に還元できること、自分の価値とは何なのかを考えて続けて今の形になっているので、「こういう働き方もあるんだよ」というのを発信して、ロールモデルになれればいいなと思っています。

働き方と切っても切り離せない家事・育児についてですが、ご主人との分担はどのような感じでしょうか?

夫がめちゃくちゃ何でもできるんですよ。家事も育児も私より得意で(笑)。夫はスポーツチームでトレーナーをしているのですが、朝7時にミーティングとかあるのに、朝の5時には洗濯物が干されてる、みたいな。相当協力してもらっているなと思います。感謝です。

すごいですね。ご主人もスポーツのお仕事をされているということは、お子様はサラブレッドと言ってもいいかと思うんですが、もう片鱗が見えていたりしますか?

あー、でも結構運動神経は言われます。もうわんぱくで。はいはいとかも高速でした。職場とかに連れて行くと、見る人がみんな「はやっ!」って(笑)

現場仕事もデスクワークも、という状況かと思いますが、体力づくりなどはどのような感じでしょうか?

最近、仕事を増やして忙しくなってきたので、なかなかジムに行く機会がなくなってきて。なんかもうちょっとルーティーンに入れないとなと思ってます。いずれはコーチングをやりたいなと思っているので、そのデモストレーションとかできるぐらいの体には仕上げたいなとは思ってます。

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続いて、お子様との思い出の品を見せていただく恒例の企画なのですが、それはコンビ肌着でしょうか?

退院着です。フリフリじゃなくてナチュラルな感じのを選びました。1か月記念とか2か月記念で写真を撮るときもギリギリまで着せてました(笑)

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お仕事をしながら子育てもやっていくうえで、心がけていることなどあればお聞かせください。

「全部を100%完璧にやらない」ということですね。現役時代は120%やろうとして、膝や頭を痛めたり、いろいろな代償を払いました。すごい完璧主義者なので、ここまでやらないとって思っちゃうんですけど、子育てをしているとコントロールできないことが増えてくるので、ちょっと力を抜いて「そこそこでOK」と思わないといけないな、と学びました。

完璧主義だと、その「そこそこ」であることにストレスを感じたりするのでしょうか。いい加減な私にはピンとこないことではありますが(笑)

最初は違和感がありました。ずっと何でも目標設定して生きてきたので、「これくらいでいいや」という自分が気持ち悪かったんです。でも子どもの体調ひとつで計画がガラッと変わりますし、そこを受け入れないと続かないんですよ。

トップアスリートになる方は元々のマインドが違うんですね。

完璧であることをもう意識しないで自分の生活、自分たちの生活が豊かであればいいなっていうに考えるようになりましたね。

お子様は女の子ですよね。ゆくゆくは女子ラグビーを、とお考えでしょうか?

ラグビーかどうかはわかりませんが、スポーツはやらせたいですね。近所にテニスコートとかあるのでなんかテニスとかやらせようかみたいな話は出てます。まだだいぶ先ですが(笑)。

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