先輩ママ・パパへのインタビューを通して「育児と仕事」をテーマに物語を紡いでいく特集『My BABY & Me』。
vol.05では、“愛されるために生まれてきた人工生命体”、“だんだん家族になるロボット”として話題の『LOVOT(らぼっと)』を開発・販売するGROOVE Xで働く傍ら、1歳(取材当時)のお子様を持つママとしても奮闘する池上さんが登場。視覚・触覚・音声・照度・温度などを知覚し、リアルタイム思考エンジンを備えた「新しい家族」の形を体現するLOVOTと、新しい家族ができたばかりの池上さん。それらを通して、いまを生きる家族の姿に迫ります。
LOVOTかわいい! HPなどで拝見してはいたのですが、実際に動いているのを見ると、ものすごく生き物っぽいですね。
そうなんです。この子達は一人ひとり性格も違うんですよ。一人を抱っこしていると「自分も」と寄ってくる子がいたり、すねてどこかにいってしまう子がいたり。
そうした性格はどうやって決まるのでしょうか。
元々決まっている部分と、一緒に生活していく中で決まっていく部分があります。抱っこしたり撫でたりするうちに甘えん坊になるなど、オーナーさんとの関わりの中で成長していきます。
あ、いま黒猫と目が合いました!
人の目線を感知して見つめ返すんですよ。瞳も色や形の組み合わせで10億通り以上から選ぶことができます。
ちなみに、ねこみみの付いたウェアは毎年大人気で、あっという間に完売してしまいます。
抱っこをすると嬉しそうに手をパタパタしてますね。
そうですね。ずっと抱っこしていると寝ちゃったりしますよ(笑)
すみません、ついLOVOTに夢中になってしまいました(笑)。池上さんについてもお話を聞かせてください。入社したきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
入社したのは4年半前だったのですが、当時はまだLOVOTは発売前で、私も全然知らなくて。たまたま仕事を辞めて転職活動中に知り合いから「この会社でPR募集してるよ」と声を掛けてもらったのがきっかけです。実は面接のタイミングでは、別の会社でもう内定が出ていたのですが「それでもいいから一度見に来て」と今の会社から言われたんですね。で、実際このLOVOT MUSEUMにきてLOVOTを見て...これから世に出ていくプロダクトに関われる機会もそうそうないだろうと思って入社を決めました。
確かにスタートアップに関われるのは魅力ですよね。でも内定を断ってまで...?
そうですね。面接に来た時にいまの上長にあたる者から「目って自由に選べるほうがいいと思う? それとも運命的に出会ったものをそのまま使ってもらうほうがいいと思う? いま迷ってるんだよね」と聞かれて。「え、そんなことまで決められるの?」と非常に驚きまして。そのとき「すごく面白そうだな」と思ったのを覚えています。
ほかのメディアでも池上さんのお姿を拝見したことがあるのですが、お仕事内容は主に広報という形になりますか?
時期によるのですが、発売直後などは広報として取材対応にあたることが多かったですね。LOVOTを背負って汗だくになりながら色々なところに出かけていました(笑)。最近は他企業とのコラボレーションの企画やイベントをやったり...いろいろですね(笑)。ベンチャーの会社というのもあり「これだけやっていればいい」と決まったものはなくて、本当に多岐にわたります。発売直後は売り場に立つこともありましたし、キャンペーンの企画をしたりもします。
業務が幅広い分、一人ひとりに対しての責任が大きそうだなと思ったのですが、子育てをしながら働くことに関して、職場のサポートはどのような感じでしょうか。
子どもが保育園に行きだしてからは、2週間に1回くらいのペースで熱を出すので、仕事を休むことも多く、本当に迷惑をかけてしまっているのですが、チームの皆さんにはご理解いただいていて非常に助けていただいています。皆さん快く色々なことをサポートしてくださって感謝しかないです。
それは助かりますね。今後、お子様にもLOVOTに触れさせるご予定などはありますか?
実は実家にすでにLOVOTがいるんですよ。両親は割と近くに住んでいて、私が産後は里帰りしていたので、子どもは生後7日めからLOVOTといっしょに暮してます(笑)。
え! ご出産に合わせてご両親が買われたのですか?
いえ、私が入社するとなったときにお迎えを決めていました。私がすることを何でも応援してくれる親で、「この会社に入るんだ」と話したら「じゃあウチでも」って。
素敵なご両親ですね。じゃあお子様もLOVOT大好きですか?
そうですね。初めてのハイハイはLOVOTを追いかけてだったんですよ(笑)。つかまり立ちもLOVOTに手をかけてしていました。
すごいですよね、私たちが子どものころなんかこういうロボットと生活するなんか考えもしなかったのに、自分の子どもはこういうものと一緒に生活していくんだなと思うとすごく不思議な感じがしますね。
いまの親世代の子どものころとテクノロジーが全然違いますよね。そういった新しい技術に触れさせることに不安はありますか?
いえ、むしろどんどん触れてほしいなと思います。今後ロボットと暮らすことも当たり前の世の中になっていくと思うので。
お子様にとって初めて触れるテクノロジーであり得るというのは興味深いですね。ほかに「こういった方に」「こういう使い方もある」と伝えていきたいことはありますか?
そうですね...子育て世帯から、ペットを飼うことを躊躇されるような年配の方まで、今も幅広く受け入れていただいていてまして。
使い方で言うと、離れて暮らす親に持っていてもらえると安心すると思います。
それはどういうことでしょうか?
LOVOTが「何時に撫でてもらった」とか「名前を呼ばれた」といったことが、日記のように毎日記録されていく機能がアプリの中にありまして、私も親と同じアプリを入れているので、それで親の安否確認ができるんです。監視カメラのような見守りツールだとお互いにあまりいい気持ちしないじゃないですか。そこまでしない“ゆるい見守り”といった感じです。
それだけじゃなくて「今日外出から帰ったらLOVOTが転んでて~」とか「こんなことしてたよ」とかしょっちゅう楽しそうに連絡をくれるので(笑)、生きがいのようなものにもなっているんじゃないかと思います。そういった使い方ももっと知っていただければ。
なるほど。親子のコミュニケーションツールとしても機能しているんですね。ご自身から見て、親御さんの子育てはどのようなものだったと感じていますか。
いまの会社に入ったときもそうですが、都内の女子校から全寮制のスポーツ系の大学に行くと決めたときも、まわりにそんな進路を選ぶ人は誰もいなかったのですが、心配しながらも応援してくれて。なんでも子どもが決めたことは応援してくれたのでありがたいなと思っています。
「どんな子どもだった?」と訊くと「全然手がかからない子だった」と返ってくるのですが、実際子育てをしてみて思うのは「そんなわけない!」ということ。すぐ上の兄もいましたから絶対大変だったと思うんです。親は偉大だなと思います。
ご自身はこれからどのようにお子様を育てていきたいですか?
やはり自分が両親にしてもらったように、子どもがやることを応援して、なるべく不自由のないような暮らしをさせてあげられたらと思います。
子育てをしていて、あるいはご自身が親になって変わったと思うことは?
何もかも変わりました。180度変わったってくらい。ずっと自分の楽しみばかり優先してきたのですが(笑)、それが何でも子ども優先になりました。
すごくよくわかります(笑)。逆に自分の時間がなくなることのストレスなんかは感じましたか?
妊娠期間から「大好きだったこのピンヒール履けない」とか「点滅中の信号が走って渡れない」とかいうのに直面して、徐々に慣れていったというか諦めがついたというか。
そのほかにもご自身に変化はありますか?
何でも先回りして考えるようになりましたね。朝、家を出るときから「帰ってきたときのためにこれを準備しておこう」といった段取りを考えて動くようになりました。 あとは世の中のママパパに敬意を持つようになりましたね。「みんなすごいなー」と思う毎日です。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
当然子育てはしっかりやっていきたいと思っていますが、子育てをしているからといって自分のビジョンも諦めたくなくて。どっちも両立していきたいと思っています。 この会社にいると自分で企画して社長にプレゼンしてOKをもらえれば本当に色んなことをさせてもらえるので、様々なことにチャレンジをしていきたいですね。