抱っこ紐、正しく使えていますか?
間違った使い方をしている人、実は意外と少なくないんです。もしかしたら、自己流の使い方で知らず知らず赤ちゃんに負担をかけてしまっているかもしれません。
日常生活のいろいろな場面で使う必需品だからこそ、正しい使い方を再確認しておきましょう。

抱っこ時の正しい姿勢とは?

赤ちゃんの姿勢で避けるべきなのは「まっすぐ伸びること」です。
腕は脇を軽く閉じて両肘が曲がりW字になっていること、脚は股関節と膝が曲がり外を向いてM字になっていることが大事。また、背中もピンと伸びず、C字に近い丸まった状態が理想的です。
ただし、いずれも「適度に」「自然に」曲がっていることがポイントです。伸び切ってしまうのも良くありませんが、押さえつけられるなどして曲がりすぎるのもNGです。
不自然に伸びすぎていないか、窮屈そうに縮こまった姿勢になっていないか、チェックしてあげましょう。

間違った姿勢だとどんな問題が?

脚が伸びた状態が続くと、股関節脱臼の危険性が高まります。日本小児整形外科学会によると、股関節脱臼は足の付け根の関節がはずれる病気で、理想的なM字型ではない姿勢を取ると徐々に股関節が脱臼してくることがあるとのこと。
寝かせるときなど、抱っこ以外の場面でもM字に曲がっていて自由に動かせる状態を保つことは大切です。洋服やおむつがキツイと、それが原因で脚が延びてしまうこともあります。

また、生後数ヶ月から5歳くらいまでは、肘の関節が脱臼する「肘内症(ちゅうないしょう)」が起こりやすい時期です。一般的に「肘が抜ける」と言われる現象です。主に手を引っ張ったり捻ったりしたときに起こりますが、肘が伸び切っているなど不自然な姿勢も負担がかかるので良くありません。接骨院や整形外科で骨を元の位置に戻す「整復処置」を受けるとすぐに治り、痛みもなくなりますが、肘内障は一度起こると繰り返しやすくなるので注意が必要です。

背中のCカーブは、赤ちゃんにとってリラックスできる理想的な姿勢です。呼吸が楽になる、胎内にいるときに近い姿勢で安心するなどのメリットがあります。裏を返せば、そうでない姿勢は赤ちゃんにとって呼吸もしづらく安心感が得られにくい状態と言えます。腰や背中の筋肉が緊張してこわばり、疲労や痛みにつながることもあります。

抱っこ紐の間違った使い方とそのデメリットとは?

多く見られるNG例は、腰ベルトの位置が低く、赤ちゃんを低い位置で抱っこしている状態です。ウエストより低い位置で抱っこをすると、ママパパの腰に大きな負担がかかります。
また、腰ベルトが低いということは、肩ベルトが長すぎるということ。その状態ではママパパと赤ちゃんの密着度が下がって必要以上の隙間ができてしまうため、赤ちゃんの姿勢が崩れやすくなるほか、体勢が不安定になって落下の恐れもあります。
肩ベルトの長さが左右で異なっている場合も、バランスが崩れてママパパの負担が増えたり、すき間ができて落下の危険が高まったりします。左右均等になるよう調節しましょう。

正しく抱っこ紐を使うためのポイントは?

一般的な腰ベルトタイプの抱っこ紐の装着でまず大事なのは、腰ベルトをウエストの位置で、水平になるように締めること。赤ちゃんの頭がママパパの顔の下、デコルテあたりにあるのがちょうどいい高さです。
また、肩ベルトが長くなりすぎないよう長さを調節し、肩ベルトどうしを固定するための背中のバックルが肩甲骨下あたりにくるようにすることも大切です。バックルを留める位置が高すぎると、赤ちゃんの重さを肩だけで支えるようになりますが、正しい位置で留めると背中で重さを受け止められるので、楽になります。

抱っこ紐を装着したら、赤ちゃんの体勢をチェックしましょう。腕と脚が適度に曲がり、背中も丸まっている正しい姿勢になっているか、呼吸が苦しそうでないかを確認します。赤ちゃんの鼻や口がママパパの体に密着して塞がれることがないように注意してください。
脚がM字になっていない場合は、お尻を持ち上げてパパママの体の方へ寄せてあげると解消されます。

ヒップシートキャリアで正しい姿勢を促す

正しい姿勢で抱っこするには、ヒップシートキャリアを使うのもおすすめです。
ヒップシートキャリアは、赤ちゃんを台座に座らせることで脚が自然とM字に開き、腰の位置が安定するため背中もゆったりしたC字カーブになります。無理なく正しい姿勢ができ、程よい密着度合いで重心が安定するため、ママパパの負担も軽減されます。

ただし、使用可能時期を腰すわり後からとしているヒップシートキャリアもあるため、使用前に必ず確認してください。

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